普段は日帰り低山がメインの登山なため、山岳保険に加入したことがないという方も多いのではないでしょうか。
ゆる登山派の筆者も山岳保険に入った経験がなかったのですが、八ヶ岳登山の計画を機に、スポットの山岳保険を検討。
内容がしっくりきたモンベルの保険を利用してみました。
山岳保険ってどんなものか、本当に必要なのか、いろいろ分かったことがあったのでまとめました。
これから検討する方のご参考になればと思います。
この記事でわかること
- 捜索のヘリには莫大な費用がかかる可能性が高いので、山岳保険にはいるべし。
- 不慣れな山へは年に数回しか行かないゆる登山派は、1日から申し込みができるスポット契約の保険でOK。
- 「捜索・救助」と「傷害保険」の両方をカバーしていると安心。
この記事を書いている私は、 日帰り低山のゆる登山派ですが6年ほど経験あり。今年は念願のテント泊登山デビュー達成。
山岳保険は必要?
道迷いや怪我、体調不良などは、年齢やスキルに関わらず誰にでも起こりえます。
実際にどれくらい遭難が発生して、救助のヘリの要請があるのか見ていきましょう。
年間の遭難者の数
2021年の山岳遭難者数は3,075人で、対前年比では378人増加しています(警察庁まとめより)。
原因の割合
- 道迷い 41.5%
- 転倒 16.6%
- 滑落 16.1%
- 病気 7.1%
- 疲労 6.6%
基本的には民間ヘリによる二次捜索から有料
警察に遭難の連絡が入ると、公的組織(警察・消防・自衛隊)による一次捜索が行われます。
これは基本的に無料で行われますが、一部有料化も検討されているとのこと。
この一次捜索で発見・救助できない場合、民間に有料で依頼することになります。
また、公的組織が民間に要請する場合もあるとのことなので、一次捜索から有料になる可能性もあります。
公的組織のヘリは、税金でまかなわれていることも忘れてはいけないね。
ヘリ要請の費用の事例
民間にヘリコプターを要請して捜索する場合、1分で1万円程度かかると言われています。
つまり...3時間飛べば、180万円!
捜索にかかる費用はヘリだけではありません。
さまざまな内容をトータルすると莫大な額に...。
この費用感を知って、絶対に保険に入ろうと思いました
山岳保険はどんなことがサポートされている?
山岳保険は、遭難時の捜索や救助のためにかかる費用の補償を充実させている保険です。
捜索や救助の他にも、傷害保険でカバーされている、怪我・入院・死亡などの補償も含まれています。
捜索・救助にかかる費用(救援者費用)
特に費用がかかるであろう、捜索・救助にかかる費用。
ヘリコプター要請だけではなく、陸上での捜索も含めさまざまな費用がかかります。
- ヘリコプターによる捜索費
- 救援者や救援を要請した人の交通費、宿泊代、雑費
- 救援者の日当
- 救助された人の移送費
この中でどの項目が保険に含まれているか確認しましょう。
他人に怪我をさせたり物を壊した時の賠償補償
ぶつかったり落石を起こしたり...、他人に怪我をさせたり物を壊す可能性もあります。
損害賠償の責任を負った時に支払われる保険金です。
入院・手術・後遺症・死亡など自分への補償
自分の身に事故が起きた時に支払われる保険金です。
「怪我・入院・死亡」への補償は傷害保険、「病気・怪我」への補償は医療保険というくくりになります。
携行品の損害補償
本人が携行していた持ち物に、損害が発生した時に支払われる保険金。
5万円~15万円程度の補償がメジャーです。
補償対象外のものがあるので、事前に把握しておきましょう。
年間契約とスポット契約
山岳保険には、年間契約と1日からでも契約できるスポット契約があります。
登山をする頻度が高いなら、毎回スポットで契約するのは手間になるので、年間契約が便利です。
保険が必用そうな登山が年2~3回なら、スポットでOKかな
スポットはワンコインで利用できるので魅力的ですが、行き慣れた低山でも、怪我をする可能性はいつでもあります。
登山の頻度が高いなら、やっぱり年間プランだと安心ですよね。
モンベルの野あそび保険をスポットで利用
何種類かスポットの山岳保険を検討した結果、モンベルの保険を利用してみました。
選ぶ時には、4タイプの中から自分に合ったものを選択します。
本格的な登山(山岳登はん)/一般的な登山
モンベルの山岳保険は、山行のスタイルで2種類に分かれます。
- ピッケルやアイゼン等の本格的な道具を使用する登山
- 上記以外の一般的な登山
短期型/長期型
加入の期間は、短期のスポットタイプと、最長5年もある長期タイプがあります。
- 短期補償タイプ:1泊2日から
- 長期補償タイプ:1年・3年・5年
4タイプの保険まとめ
山行のスタイルと期間で分かれる4タイプの保険の名称です。
名前が似ていて混乱しますね。
一般的な登山 | 本格的な登山 (山岳登はん) | |
長期補償タイプ | 野外活動保険 | 山岳保険 |
短期補償タイプ | 野あそび保険 | 山行保険 |
ネットで簡単に申し込み可能
モンベルの保険はネットだけで簡単に手続きできるのが、嬉しいポイント。
私はモンベルクラブ会員なので、すぐに申し込みできますが、会員ではない方は「モンベルメイト」に登録(無料)をします。
あとはプランを選択するのですが、プランによっては加入条件があり、申し込み対象外の方もいるので要注意です。
たとえば、ほかに同種の保険に加入している場合、その保険と合計額が〇円を超える場合は加入できないなど。
せっかく加入しても、後で無効だと発覚しないよう、加入条件は熟読したほうがよいです。
支払いは、加入者本人名義のクレジットカードのみですよ。
別の傷害保険で十分な備えがあるならjROでもOK
すでにほかの傷害保険に加入していて、十分な補償があるのなら、救援者補償のみに特化した保険を選ぶのもありです。
たとえば、jRO(ジロー)日本山岳救助機構合同会社という、山岳遭難対策制度があります。
jRO(ジロー)は捜索救助費を、上限330万円まで補償してくれるので、他の山岳保険と併用してもよいですね。
莫大な費用請求に困らないために山岳保険に加入しよう
高額の費用がかかることを恐れ、遭難しかけているのに救助の要請をためらう。
そして下山ができなくなり、本格的に遭難してしまうなんて事態にならないためにも、保険に入るべきだと再認識しました。
もっと怖い事態は、遭難して見つからずに行方不明になると、7年間は死亡として扱われず失踪扱いになることです。
死亡扱いになるまでの間、家族は生命保険も退職金も受け取れず、住宅ローンも債務弁済とならず払い続けなければなりません。
捜索で莫大な費用の請求がくることに加え、残された家族の負担はそうとうなものとなるでしょう。
登山は楽しく素晴らしい趣味ですが、常に危険と隣り合わせであることを忘れず、しっかり備えておきたいものですね。
それでは、よいリフレッシュを!
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