そうだ、バックパッカーの旅に出かけよう
以前テレビで放映されていた、沢木耕太郎の「深夜特急」を映像化した作品を見ていた筆者。大陸横断のバックパッカー旅をする主人公に感化され、早速自分も長期の旅の計画を立てました。
自衛隊を辞めたばかりで、時間も体力もあり余っており、留学経験もあるので日常会話程度の英会話も問題なし。
細かい旅程は、成り行きで決めれば良いか....ということで、タイ・カンボジア・インドのガイドブック(地球の歩き方)を持って旅に出ました。
この記事では、十数年前ではありますが、筆者が初めて2カ月間のバックパッカーの旅に出た時に訪れたカンボジアの旅を振り返ってみます。
この記事でわかること
- アンコール遺跡群・シェムリアップ観光の魅力
- 個人旅行(バックパッカー)を初めてする時に気をつけること
- より一人旅を楽しむためにおすすめしたいこと
バックパッカーらしく、低コストの旅をしました。
アンコールワット観光は1週間で1人旅をフルに満喫できる
インドネシアのボロブドゥール遺跡、ミャンマーのバガン遺跡群と並び、世界三大仏教遺跡のひとつカンボジアのアンコール遺跡群。
カンボジアは、タイとベトナムに挟まれた場所に位置しており、距離やコストの面でも訪れやすい観光地です。
1週間程度の短期間バックパッカー旅にぴったりの国だと思います。
アンコール遺跡群自体は、3日有効のチケットで十分観光できます。しかしもう1~2日余裕があれば、より特別な体験や思い出ができるでしょう。
- マーケットで買い物
- トレンサップ湖でボートに乗る
- 博物館や施設などを巡る
シェムリアップ観光は、世界遺産、クメール文化、ザ・東南アジアな雰囲気など、短い期間で体験できるものが多いです。
また、油断は禁物ですが、治安的にインドほどのヤバさは感じられませんでした。
タイのバンコクから陸路でシェムリアップへ
筆者の旅の最初の目的地は、タイのバンコクでした。バックパッカーの聖地として有名な、カオサン通りです。
バンコクは、今回の旅の基点であり、カンボジアへ行ってまたバンコクへ戻り、次はインドへ行く予定でした。
バンコクからバスで移動
カオサン通りには、旅行代理店がたくさんあり、その中から適当なところへ入ってみることに。
目的は、アンコール遺跡群のあるシェムリアップへの航空券の購入です。
お店に入ると、日本人の男の子が1人いて、ちょうどシェムリアップから戻ってきたところだと言います。
バス一択ですね。
即決でした。飛行機だと、1万円以上だった気がします。
さらにその男の子は、宿泊して良かった安宿と、宿のバイクタクシードライバーを紹介してくれました。
こんな情報交換ができるのも、カオサンロードの魅力です。
大平原の真ん中で故障し2時間足止め
ワンコインで国境越えができるとホクホクしながら、満員のバスに乗り込む。
シェムリアップ到着予定が18~19時頃で、7~8時間のバスの旅。
たくさんのバックパッカーを乗せ、順調に走っていたバスですが、大平原の真ん中で動かなくなりました。
原因はパンクか何かのバスの不具合。絵にかいたような東南アジアの旅あるある。
2時間ほどかかって修理をし、ようやくまた走り始めましたが、トイレに行きたくならなくて本当に良かったです。
何故かというと、用を足そうとバスから出ようとした乗客が、バスドライバーに「地雷があるから外を歩くな」と言われていました。
そう、ここはカンボジアなんだ...。気を引き締めないと。
ちなみに私は帰路もバスを利用しましたが、オーバーブッキングのためか、私を含めた東洋人6人ほどは、バスの荷室に詰め込まれました。
荷室なのでシートではなく、乗客の荷物の上にソファのように沈み込んで腰かける...というか、半分横になっているかたちです。
最初は「えっ!?」と思いましたが、韓国人のバックパッカーたちとお喋りしながら、楽しいバス旅になりました。
ちょいトラブルと一期一会こそ、旅の醍醐味!
知らない宿に連れていかれる
バスの故障で大幅に予定が遅れ、シェムリアップに到着した時は既に真っ暗。
しかも知らないゲストハウスで全員降ろされ、時間も21時頃と遅く、半強制的に宿泊せざるを得ない状況。
仕方なく部屋を見せてもらったが、カプセルホテルのような作りで、ドアを開けたらベッドの横幅分しかない部屋でした。
しかも、値段も安くない。
半分以上の乗客バックパッカー達は、別の宿を探しに移動するようなので、私もここを離れることに。
カオサンロードで出会った男の子が教えてくれた宿に行ってみたところ、遅い時間にもかかわらず、こころよく迎え入れてくれました。
宿名は失念してしまいましたが、明るくて清潔な部屋でした。
シャワーはお湯は出ず水ですが、日中とても暑いので、昼間に浴びれば問題なし。
早速ぼったくりの洗礼を受ける
翌朝、この宿のお抱えバイクドライバーのCさんを指名させていただこうとフロントに行ったら、生憎Cさんはこの日、別のお客さんの予約が入っているとのこと。
明日以降は空いているとのことなので、予約だけしておきました。
1日目の予定としては、翌日から3日間入場できるアンコール遺跡群のチケットを購入すること。
それ以外どうしようかなと思っていたところ、違うバイクドライバーの男性が声をかけてきました。
良かったら、湖の方を案内すると言われ、お願いすることにしました。
トレンサップ湖へのツアーを手配
トレンサップ湖は、シェムリアップ近郊に位置する、東南アジア最大の湖です。
ボートツアーで、湖上で生活している人々の村落や景色を楽しんだり、さまざまな鳥の観察をできたりします。
ドライバーの男性の手配でボートに乗り、途中サルに嚙まれそうになってヒヤッすることもありましたが、楽しく観光しました。
後で相場を聞いてぼったくられたことを知る
宿に戻り請求された料金を払い、ドライバーと別れたあと、遂にCさんと顔を合わせることができました。
早速Cさんにバイクタクシードライバーの契約をし、一安心。
少しCさんとお話をしようと、トレンサップ湖に行ってきたことを伝えました。そこで分かったのは、そのバイクドライバーが請求した額は、かなりのぼったくりだったこと。
日本人の金銭感覚では、それくらいするのかな?と思っても、倍くらいふっかけられていたようです。
チケット指定日の前日は夕方から無料で入場可能
アンコール遺跡群は、広大なエリアにたくさんの寺院や遺跡が点在しており、訪れるには入場券が必要です。
入場できる日数により、1日券・3日券・7日券の3種類があり、チケットの使用開始日から決められた期間出入り自由になります。
ここで知っておくとお得な情報は、チケットの指定日の前日も、夕方から入場できるということ。
そこで私も、夕日を見に出かけました。
サンセットで有名なプノンバケン。丘の上に建っているため周りの風景を一望できます。
遺跡に登り、密林の遥か向こうに沈んでいく夕日の美しさに感無量です。
バイクタクシーでアンコールワット遺跡群をまわる3日間
3日間終日バイクタクシーのCさんを手配したおかげで、フットワーク軽く観光が可能になりました。
3日間の観光は、毎日こんな感じでした。
- 早起きして朝日を拝んで、午前中の少し涼しい間に遺跡巡り。
- 非常に暑い真昼間は宿でシャワーを浴びてお昼寝。
- 夕方から遺跡へ登りサンセットを鑑賞
ここからは、写真と共に旅を振り返ってみます。
アンコール・ワット遺跡群散策
まずは世界遺産アンコール・ワットの日の出から。
朝焼けをバックに影絵のようになっていて、水面に反射することで美しさが倍増です。
アンコール遺跡群の一部として世界遺産に認定されているアンコール・トム遺跡。
この南大門は、アンコール・トムへと続く道にあるメインゲートです。
アンコール・トム遺跡の中央にあるバイヨン寺院。
圧倒的な景観です。
バイヨン寺院といえば、微笑みを浮かべる四面像。
「クメールの微笑」と呼ばれ、観世音菩薩を模しているといわれています。
建物には、いたるところに彫刻が施されています。
クメール王朝の国王の母の菩提を弔うために建立されたといわれる、タ・プローム遺跡。
ガジュマルの一種であるスポアンの大樹に飲み込まれかけている箇所が、ところどころにあります。
頭部のない兵士?の像が、ゲームの中の世界のような遺跡感をかもしだしています。
日が登って改めてアンコール・ワット遺跡を探索しに参道を歩く。
やはり絵になります。
アンコール・ワットの回廊にて。
この写真は私のカンボジアの旅のベストショットだと思っています。
クバール・スピアンへ
シェムリアップの中心から車で1時間半ほどの場所に、クバール・スピアンという水中遺跡が最近見つかったから行かないかと、バイクタクシードライバーのCさんから提案がありました。
アンコール遺跡群で朝日を拝んで一旦宿に戻り、ひと休憩してから出発です。
川底や川辺に、ヒンドゥー教の神様や、男性器・女性器を象徴した彫刻があります。
頂上までは、40分程度登山道を歩くことになります。
現在は休憩所が設置されているようですが、当時はまだ観光地されておらず、何もないただの山でした。
この穴は、ポル・ポトが隠れていて、最後に見つかって捕らえられた時の穴だとCさんが教えてくれました。
ハイキング気分で浮かれていたので、突然の歴史舞台との遭遇に、かなりの衝撃を受けました。
山頂に到着し、座って素晴らしい景色を見ながら、しばらく休憩することにしたCさんと私。
すると、Cさんがリュックから何やらガサガサと出しました。
フルーツやお菓子を差し出してくれるCさんに癒されながら、いろいろなことを話しました。
クメール・ルージュでCさんのご家族は大変な目に遭ったこと。
バイクタクシードライバーの仕事のこと。
現地の方や旅人と、こうやってお話できるのも、バックパッカーで旅する楽しみのひとつなんだなと実感できました。
バンテアイ・スレイ
クバール・スピアンのハイキングの後は、クバール・スピアンとセットで行きやすい場所にある、バンテアイ・スレイにも行きました。
東洋のモナリザと呼ばれる、美しい像のレリーフで有名なバンテアイスレイ。
今まで見てきた遺跡より、繊細な彫刻が多いイメージでした。
郊外の遺跡は観光客がほとんどおらず、地元の子供の遊び場になっていてピースフル。
タ・ケウ
メジャーな遺跡のほかにも、たくさん魅力的な遺跡が点在しています。
メジャーな遺跡より人けが少なく雰囲気があるので、写真を撮影したい人には嬉しですね。
遺跡は、急な階段を登って上にあがるれるものもあります。
足を踏み外さないよう、要注意です。
遺跡群からの日の出と夕日
3日のチケットを購入したので、朝日と夕日を合計7回見れました。(3日+前日の夕方)
小さなデジカメしか持ってなかったので、ミラーレス一眼を持ってまた行きたいです。
地平線に沈む夕日を、遺跡に腰掛け静かに見つめる。
贅沢な時間です。
遺跡群以外のシェムリアップの見どころを巡る
アンコール遺跡群の観光だけのパッケージツアーとは違い、自由度の高い個人旅行。
現地の文化や歴史を満喫するために、引き続きバイクタクシーのCさんと契約し、シェムリアップを観光することにしました。
地雷博物館
カンボジアのイメージと言えば、私の中ではアンコール遺跡群と地雷です。
やはり地雷について見ておきたい気持ちがあり、訪れるべきである場所でした。
キリングフィールド
キリングフィールドとは、ポル・ポト率いるクメール・ルージュ政権下(1975~1979年)で大量虐殺が行われていた場所の跡地です。
アンコール遺跡群が世界遺産として脚光を浴びる裏にある、歴史的な負の遺産。
亡くなった方々の大量の写真や、当時の拷問・処刑の様子が描かれたパネルが展示されていました。
屋外にある慰霊塔には、透明の入れ物に頭蓋骨が山積みに入れられており、外から見えるようになっています。
国民の3人に1人以上が虐殺されたカンボジアの歴史を、記憶に刻み込まれる施設でした。
マーケットで買い物
どの国に行っても、マーケットをブラブラ見て回るのは楽しいものです。
今回は、2か月の旅の始まりということもあり、お土産をたくさん購入することはできませんでしたが、どうしても欲しくなったものがありました。
それがこちら、クロマ―です。
クロマ―は万能布として現地で愛用されており、村のおばあちゃんから街中のお姉さんまで、皆さんこのクロマ―を巻いていました。
強い日差し除けにするのはもちろん、砂ぼこりを避けるにも重宝します。
道が舗装されていないので、バイクの後ろに乗ると顔や首が砂だらけ。
ちなみに画像のクロマ―は、この旅で200円ほどで購入。現在も使っていますが、18年ほど経つのにこの鮮やかさ。恐ろしい耐久性です。
バイク移動中にも見どころが
近郊をバイクの後ろに乗って移動中、面白い場面に遭遇しました。
写真では一部しか映っていませんが、右も左も大量のカモがいます。
それはもう凄い数のカモが横断。
現地の人にも珍しいらしく、笑っちゃってました。
アプサラダンス・ショー
ここまで、水シャワーの安宿に泊まり、現地の人が行く食堂で安いご飯を食べてきた筆者。
激安旅行といえど、一晩くらいはちょっと優雅に過ごしたい。
というわけで、伝統舞踊を鑑賞しながらディナーを食べられるレストランに足を運びました。
かわいい踊り子ちゃんたちのアプサラダンスショーが終わり帰ろうとすると、記念撮影会が始まりました。
私は1人だから写してくれる人もいないし、そもそも自分が写りたいとも思わないのでスルー。
すると、隣の席の韓国人ファミリーが、何故か私に舞台に乗れと要求してきました。写真を撮ってくれるそうです。
親族一同の勢いに押され、舞台に登って記念撮影。
今となっては、面白い写真が残せたなと思います。
韓国人のお父さん、カムサハムニダ。
余談なのですが、この旅で他にも韓国人の方にお世話になった出来事があったのを思い出しました。
バンコクでとある韓国料理店に入ったときのことです。
食べ終わって財布を宿に忘れたことに気づいた私。
店主に訳を話し、宿に財布を取りに戻ると伝えました。
すると店主は、
「旅の途中だろ。宿に戻るのも大変だから、お金はいいよ。おごりだよ。」
この旅でポカポカになったエピソードのひとつです。
カンボジア一人旅を楽しむポイントと注意点
これまでのバックパッカーの旅を通じて気づいた、個人旅行の注意点がいくつかあるのでまとめます。
ぼったくり被害に注意
タイ・カンボジア・インド・ミャンマーを回りましたが、東南アジアはぼったくりの宝庫です。
下手すると10倍以上吹っかけられることも....。
乗り物をチャーターしたり、現地の1日ツアーなどに申し込む時は、宿泊先などに相場を確認してから手配しましょう。
また、一度断るというのも手です。
必ずディスカウントの金額を再提示してきます。
特に日本人は素直に払うのでターゲットにされています。
現地の人が日本人だと判断する材料のひとつは、ガイドブックです。
日本人は必ず地球の歩き方を持っているので、すぐバレてしまいます。ただ、今はデジタル化されているから、スマホやタブレットで使用するなら大丈夫かもしれませんね。
英語に自信がある方は、欧米人が持っているロンリープラネットを使用するのも手です。
カンボジア全体のガイドブックなので分厚くなりますが、こちらの方が最新です。
ロンリープラネットは、電子版は部分的にPDFを購入できるので、そちらを利用すると無駄がないです。
物乞いや売り子の子供たちとのやり取り
アンコール遺跡群は、私が行った他のどの国より子供の物乞いや売り子が多いところでした。
最初は頑なに子供たちを避け、相手をしないようにやり過ごしていました。
でもそれは、子供の表情は暗くなるし、自分自身もあまり気分の良いことではありません。
そこで、考え方を変えてみました。
ただ品物を購入するのではなく、「子供たちとのコミュニケーション」という付加価値をつけます。
例えばこんな感じ。
- この辺でキレイな写真が撮れる景色のよい場所を教えてくれたら、お礼のチップを渡すよ。
- お土産品を思い出にしたいから、あなたと一緒に写真を撮らせて。
こうやって子供たちとお喋りをしながら買うものは良い記念になったし、ときには面白い場所に連れて行ってくれました。
子供たちも、はにかみながら対応してくれてホッコリ。
全員からお土産品を買うことはできませんが、たまに気が向いた時にすれば、旅をより充実させる行いだと感じます。
現地の屋台の食事に注意
カンボジアでは、現地の人と同じ食堂で食べてましたが、お腹を壊しませんでした。
しかし、最後の最後に食べた、屋台で売っていた「かぼちゃプリン」。
こやつだけはダメでした。
上も下も大フィーバー
日本から持参した正露丸はまるで効き目なしでしたが、宿のオーナーがくれた錠剤を飲んだら、3時間後には完全回復。
逆に怖いです。
屋台の食べ物は食べないほうが無難でしょう。
最低限の英語力は身につけていこう
日本語で話しかけてくる現地の人は、ぼったくり・観光客を騙そうとしている人の割合が非常に高いです。
旅行中インドで知り合った日本人男性は、1万円の航空券を10万円で買わされていました。
ちなみに彼は、英語力ゼロ。その勇気は、ある意味凄いです。
日本語でチケットを売りつけられたようです。
東南アジアで個人旅行をするなら、基本的な意思疎通を英語でできるようにしないと、大損する可能性が爆上がりします。
アンコール遺跡群はリピートしたくなる素敵な観光地
アンコール遺跡群とシェムリアップは、見どころがコンパクトにまとまっているので短期間でまわれ、低コストで旅ができる、魅力的な観光地です。
何よりどこをとってもフォトジェニックで、東南アジアらしい情緒もあふれています。
あまりリピーター志向のない筆者ですが、シェムリアップだけはもう一度訪れたいです。
皆さんも機会があれば、ぜひラピュタのような世界を味わってみてください。
それでは、よいリフレッシュを!
※2010年頃の情報です。お出かけの際は、最新情報をご確認ください。