スマホのGPSアプリだけに命を預けるのが怖いから、地図読みを習得したいな
この記事を開いてくださったあなたも、同じように感じていらっしゃるのではないでしょうか。
筆者は地図読みの本を1冊読んでみたのですが、いまいちストンと落ちてこない部分もあり、講習会に参加することにしました。
講習会の感想と共に、学んだことの備忘録も兼ねてアウトプットしようと思います。
この記事でわかること
- 石井スポーツ登山学校の「ナヴィゲーション初級講座」の内容や感想
- 講座で学んだ地図読み初心者向けお役立ち情報
- 講座参加前や後にすると良いこと
この記事を書いている私は、 日帰り低山のゆる登山派ですが6年ほど経験あり。今年こそお泊り登山に挑戦しようと計画中。
結論:講習で地図読みへの興味が倍増、やるべきことが明確に
今回の講座で講師をされた方は、豊富な経験をもとに実践的な地図読み方法について教えてくれました。
ほほぅ、なるほどと思ったのは、実際にご本人が山へ行く時に持っていく地図読みセットを見せてくれたことです。
マップケースは百均のジップ付透明袋を使ってるってことや、地図はPCでA4出力したものを持って行ってるとお話されていて、大先輩でもそういう感じなんだなと分かったのは収穫です。
私も同じやり方ですが、私が初級者でケチってるだけで、中級以上の人はきちんと国土地理院の地図を購入して立派なマップケースに入れてるんだと思ってたので。
その他、ガチガチにコンパスの回転リングや矢印を使いこなせなくても、北さえ分かるようになればとりあえずOKだということも分かりました。
もともとコンパスは海外の広大なフィールドで使用する想定で作られており、日本の登山道では一般的に方角さえ分かれば事足りるとのこと。
講師の話の他、ネットでも調べてみたら同様のことが書かれていました。
本を読んでいると小難しいテクニカルな内容が書いてあるけど、初心者は難しく考えず方角を導き出せる「整置」というスキルを身に付ければ良いそうです。
石井スポーツ登山学校のナヴィゲーション初級講座
ネットで地図読みで検索して出てきた石井スポーツさんの開催している講座。
初級講座①②があり、各1時間半の講習で、お値段も各500円と安価なのも魅力的。
参加者は少人数制で初級者の1人参加がメインだった
少人数制(最大6名)で、当日は①の部が4名、②の部が5名。
地図読みができないくらいだから、参加者は全体的に初級者でした。
とは言え、猿投山や御在所に登ってたり、テント泊経験ありの方もいたので、完全なる「入門レベル」ではなかった印象です。
ただわざわざ地図読みの講習を受けに来るくらいだから、真面目に登山スキルUPをしたい方ばかりでしたね。
全員1人参加だったのは予想通りでした。
ソロ登山メインだと道に迷っても誰にも頼れないので、地図読みを真剣に学ぼうと思いますもんね。
私もグループ登山ばかりだったら、あまり危機感なかったかも
講義のシステム
聴講中心ではなく、受講者参加型のワークショップでした。
講師の説明後、練習問題が出されて全員が順番にあてられ答えます。
かなり真剣に聞いていないと答えられないので、頭フル稼働。
教わった直後に練習を繰り返したことで、定着度合いが高まりました。
ナヴィゲーション初級講座の内容
ナビゲーションスキルとは、オリエンテーリングやロゲイニングなど、野山で地図やコンパスを頼りにポイントをまわったりゴールしたりする競技で必要なスキル。
もちろん登山でも使える技術です。
それでは、初級講座でどのようなことを学んだか見ていきましょう。
初級講座①【地図の知識と地図読み】
地図読みに必要な道具や、地図の種類・記号など最低限の基礎知識について学びました。
コンパス
紹介があったのは、こちらの3タイプ。
①ベースプレートコンパス
地図に乗せて使用するスタンダードなタイプ。
目盛りが付いていて地図上で距離が測れる。
ルーペが付いていたり、マーキングする穴が空いているものもある。
持ち運び方に注意があります。
付属でヒモが付いてますが、首にはかけないようにとのこと。
引っ掛かると首がやられますからね。
必ずザックに引っ掛けるか、手首など首以外の場所にかけましょう。
また、ヒモが邪魔な場合、伸びるストラップに付けると便利です。
②キーホルダーで付ける超コンパクトなもの
温度計も付いてるし、メインのコンパスを落としてしまった時用にお守り替わりに持つのもアリ。
③指に付けることができるサムコンパス
磁針以外の機能はなく、方角が分かる機能のみのシンプル設計。
頻繁に確認したい場合は、出し入れしないで済むので便利。
余計な機能が付いていない分、入門者こそおすすめのようです。
マップケースと身に着け方
地図は濡れないように防水のケースに入れます。
講師の方曰く、
百均で買ったジップ付の透明な袋で十分。
とのこと。ただし、落としたり飛んでいかないように注意が必要です。
地図の種類
用途によって2種類の地図を使い分けます。
山と高原地図
縮尺は5万分の1。
登山道の情報(コースタイム・水場・山小屋など)が表記されている。
細かい部分の地図情報に正確さを欠いている場合がある。
⇒登山の全体像が把握できるので、プランニングに使用。
縮尺が大きいので、登山本番に持って行きナビゲーションに使用するには不向き。
国土地理院の地図
縮尺は2万5千分の1。
ほぼ地形図のみの表記のため、等高線が見やすい。
⇒登山本番で使用。
地図記号
登山道ならではの特に覚えておいた方が良い記号を教えていただきました。
道路:車道、軽車道、徒歩道
地形:主曲線、計曲線、岩、滝、池
建造物:電波塔、送電線、記念碑、風車
基準点:三角点
植生:広葉樹林、針葉樹林、竹林、ハイマツ地
山には電波塔が建っていることが多く、場所特定の材料になります。
また、電波塔や送電線は通常は尾根上にあるということも覚えておくようにとのこと。
植生に関しては、地図の情報が古い場合もあるので参考程度に留める方が無難です。
等高線の理解:曲線の単位、傾斜、高所・低所
等高線から地形を読むのは、基本中の基本。
2万5千分の1 | 5万分の1 | |
主曲線(細線)の間隔 | 10m | 20m |
計曲線(太線)の間隔 | 50m | 100m |
等高線の間隔が
広い:緩やかな坂
狭い:急な坂
地形の読み方:ピーク、尾根、谷、鞍部(コル、峠)
等高線が
小さく閉じている:ピーク
高いところから低いところへ張り出して連なっている:尾根
低いところから高いところへ張り出して連なっている:谷
尾根上のピークとピークの間で部分的に低くなっている:鞍部(コル、峠)
特に鞍部(コル、峠)が、本を読んだだけだといまいち分かってなかったのですが、講習を聞いて理解できました。
ワーク:地形を読む練習
一通りの説明が終わり、ワークの時間です。
予め配布されていたプリントの中にある地図を使い、実際に地形を読む練習をします。
練習のポイントは以下の通り。
- ピークを見つける
- 鞍部(コル)を見つける
- 標高の高い場所を見つけて囲う
- 尾根や谷を見つけ、マーカーでなぞる
私は本を読んで少し予習していったので大丈夫でしたが、何の知識もなく参加していたら結構混乱したと思います。
等高線を見てると、どっちが尾根でどっちが谷か分からなくなってしまう...。
初級講座②【整置、コンパスの使い方、プランニング】
本番登山前に地図に対して準備しておくこと、コンパスを使った整置、先読みについて学習しました。
磁北線のひき方
地図は上部が北となっていますが、実際の北は西に少しずれています。
そのため本当の北を示す磁北線を地図に表記しておかないと、正確な方角が把握できません。
磁北線を入れる一番簡単な方法として、三角関数を使った線のひき方のレクチャーがありました。
ヤマレコなどのアプリで磁北線入りのマップが出力できるので、実際は自分でひくことは少ないかなと思います。
磁北線入りの地図
25000分の1縮尺なら、4cm間隔で線を入れると1km単位になるので分かりやすくて便利。
地図とコンパスを使って整置
実際に立ち上がってのワークでした。
- コンパスを地面に水平に持つ
- 地図の磁北線の北にコンパスの北を合わせる
⇒地図を回転させる - 整置が完了し、方角が分かる
注意点としては、スマホなどの電子機器は遠ざけることです。
スマホなどが近くにあると、磁針がグルグル回ってしまいます。
登山前にプランニングや先読みをしておく
登山に行く時には地図とコンパスだけ持って行っても、初心者は途方に暮れてしまいますよね。
そうならないよう、予め歩くルートの状況をよく把握し、自分がどの位置にいるか把握できるよう目星を付けておくことが重要です。
歩くルートを決める時、注意点を書き込んだ概念図を作成すると良さそうです。
- 尾根、谷、ピーク、鞍部などをよく観察し、必要があればマーキングしておく
- 傾斜や高低差も確認
- 道を間違えそうな分岐をチェックし、まわりの地形の特徴も記入
- 送電線、池など目印になるものを把握
道迷いのリスクがあるポイントを予め把握できるので、例え迷ったとしてもリカバリーを早くできる可能性が高まります。
ワーク:先読み練習、コンパスを使った方角確認
ここまでの講義をもとに、残りの時間で地図の先読みの練習をしました。
配布された地図で以下の質問に答えます。
- 指定されたポイントの地形の特徴を言う
- 指定されたルートの特徴を言う
- 講師が特徴を述べた登山道がどれか当てる
- 指定されたルートで道を間違えそうなポイントを言い、正しいルートを選択するために参考にする事項を言う
などを順番に繰り返し答えていきます。
これはちょっとしんどいけど、かなり練習になりました。
山での練習方法
机上で理解しているだけでは不十分。
実際に山を地図とコンパスで歩く練習を、くり返し行います。
- 地図にチェックポイントを付けておく
- 先読みをした地図をもとに現在地を確認しながら歩く
- 地図を頼りにチェックポイントに到着したら、GPSアプリで答え合わせをする
現在地を把握できるようになれば、道迷いのリスクはグッと下がりますね!
地図読み講習を受けた感想
入門者向けに簡単な内容から始まったかと思いきや、地図を使ったワークでは結構頭をフル回転。
集中していないとどんどんあてられるので、真剣に地図に向き合うことができました。
1人で学習しているとなかなかこんなに集中できないですからね。
地図読みって凄く難しいイメージだったのですが、それも払拭されました。
地図の磁北線を使ってコンパスで北を合わせるだけの整置ができればOKだと知れたのは大きいです。
絶望的な方向音痴の私には、正直無理だと思ってました
講座の良かった点
- 全員初心者で、安心して受講できた
- 小人数の講座のため、ひとりひとりが理解できているか確認しながら進行していた
- 質問もしやすい雰囲気だった
- 一方的に聴講しているだけではなく、ワークがたくさんあった
- 本を読むだけだと、「コル」が何かいまいち分からなかったのが、クリアになった
- 講師の方がオリエンテーリングに詳しく、ご自分も実地を積んでいる方だったので、説得力があった
期待してたのと違ったことや要望
- 講座の募集の説明で「コンパスを使った地図読み」となっていたけど、実際はあまり使用しなかった。
- 磁北線の入った地図を印刷する方法を、具体的に教えてもらいたかった。
⇒時間が足りなかったので、続編の講座を期待 - 尾根と谷の見分け方を、スライドでもうちょっと実例を見ながら説明があったら、より分かりやすかった。
私が完全に知識ゼロでこの講座を受けたら、ちょっと理解が追い付かなかったと思う...。
地図読み講習の前にするとオススメなこと
今回参加してみて思ったのは、「基本的なことを予習していって良かった」ということでした。
理解度も高まるし、質問も生まれますからね。
私が予習した方法はこちらの2つです。
本を読む
写真や地図が多そうだし、ネットでおすすめされていたので購入したこちらの本。
8年ほど前に買ったのに、読まずに積み本になってました。
ちょっと古い本ですが参考になりました。
YouTubeを見る
動画で見るとやっぱり分かりやすい。
まだ3つくらいしか見れていないので、本番前にできる限り見て勉強しておこうと思います。
まとめ/行きたい山の地図で楽しく先読みすることから始めよう
本を読み講習を受け、動画で勉強しても、やっぱり机上の知識だけでは不十分。
地図読み講習後に、実際に山で練習をすることが大切ですね。
先日、近くの低山に早速練習へ行ってきたので、
- 本当に机上で得た知識で地図読みができるのか?
- 山で実際にやってみて分かったこと
についても記事を書いたので、よろしかったらご覧くださいね。
この講習に参加する前は、登山に行く前に読図の準備をするという発想がなかったので、それだけでもとても意義のある講習に参加できたなぁと思います。
それでは、良いリフレッシュを!