登山の持ち物で必需品である地図とコンパス。
持っていないと不安だから一応持って行くけど、実際使える自信がないという方も多いのではないでしょうか。
いつもソロで登山をするくせに地図読みスキルがゼロの筆者は、常々何とかしたいと考えていました。
スマホのGPS使ってるけど、それだけだと不安...。
本を読んだり登山用品店の机上講座に参加したのですが、実際の山で練習しないとできるようにならないと実感。
そこで、勉強した知識を使えるスキルにレベルUPするために、近くの低山で練習をしてきました。
この記事でわかること
- 本や講座などの机上で勉強した知識で、地図読みができるようになるのか
- 実際の山で地図読みの練習をするおすすめの方法
- 登山前に準備しておくこと、本番でするべきこと
この記事を書いている私は、 日帰り低山のゆる登山派ですが6年ほど経験あり。今年こそお泊り登山に挑戦しようと計画中。
本と机上講座で初歩的な地図読みはできるようになる
居酒屋でトイレに入ると席に戻れなくなるほど重度の方向音痴である筆者ですが、地図読みについては、方向感覚は関係ないようです。
結論から申し上げると、地図読みは思っているほどハードルは高くないです。
筆者でも少し勉強してから山で練習を初めてした時、思いのほか現在地がどこか地図で追うことができて驚きました。
ただし、できるようになるまでには前準備が大切です。
本記事では、「どのような準備をして、どんな練習をすると良いか」も併せてお伝えします。
山での地図読み練習の前にやったこと
独学でもいけると思いますが、可能なら経験者に直接教えてもらった方が早いですね。
Step1.本を読んで基本的な知識を勉強
地図読みができるようになるための知識は、本を読めば基本的なことが理解できます。
地図の実例と写真の掲載量が多いほうが、頭の中でたくさんシミュレーションができるのでおすすめですよ。
例えば、筆者が勉強したのはこちらの本です。
YouTubeの利用もいいですよね。
数多くの動画がUPされてるので、併せて視聴することで分かりやすいですよ。
Step2.机上講座で教わる
実際に経験や知識を持っている人に教わる機会がない場合、登山用品店などが開催している講座に参加するのもおすすめです。
独学で集中して地図読みの勉強をするのは、面倒くさがりの筆者には正直のところハードルが高かったです。
でも講座に申し込んだら、お金も時間もかかっているので真剣に学べますね。
実際の山で練習をする手順
机上での学習をしたら、実際に山で練習をしてみましょう。
練習の手順
- 練習に良さそうな山をチョイス
- ルートの計画を立て、地図を出力
- 出力した地図にチェックポイントを自分で決めて記入
- 地図とコンパスを頼りに山を歩き、チェックポイントに到達
- スマホのGPSアプリで正解しているか現在地を確認
それでは、具体的にみていきましょう。
練習の前準備
大事なのは前準備。
何の準備もせず、いきなり現地へ行って練習するのは難しいです。
地図読みに最適な山を選ぶ
せっかく練習するんだったら、適していている山を選びたいですね。
- 初めて登る山
⇒経験のある山だと迷わず登れてしまうので - 負荷が大きすぎない低山
⇒時間と心の余裕を持ちましょう - ルートや分岐が複数ある山
⇒1本道だと練習になりません - 地形に変化がある山
⇒アップダウン、緩急、方角を読む練習になります
登山アプリで山行計画
筆者はヤマレコで登山の計画を立てています。
ルートを選ぶと時間も計算できるので便利ですね。
国土地理院の地図を出力
登山アプリの便利な機能のひとつは、国土地理院の地図をプリントアウトできることです。
磁北線入りで、ルートあり・なしの両方出力できるのはありがたいですね。
地図に情報の書き込みをする
私は2種類の地図を用意しています。
- ルート入りの地図(磁北線入り)にチェックポイントを追記したもの
- ①にさらに追加で、尾根・谷・その他の特記事項を追記したもの
詳細を見ていきましょう。
Map①:ルート入りの地図(磁北線入り)にチェックポイントを追記
ここで要注意なのは、必ず「磁北線」を入れて出力することです。
チェックポイントの追記について
山で位置確認するポイントを決め、記入します。
そのポイントがGPSとの答え合わせするポイントになります。
本番の登山の時も、チェックポイントを決めてその都度地図を確認すれば、万が一スマホにトラブルがあってもどこまで歩いたか分かりやすいですね。
ポイント選びのコツは、特徴的な地形や人工物を選ぶと良いです。
例えば、以下のようなもの選びましょう。
地形の変化
- ピーク、小ピーク、コル(鞍部)
- 登山道の分岐や合流
- 方向の変化
- 尾根の分岐点
- 谷⇔尾根歩きへの変化点
- 勾配の変化
人工物
- 電波塔、風車
- 送電線、リフト等の下を通る
- 神社、寺院
- 軽車道、1車線道路
Map②:「①の地図」をもう1枚準備し、追加で尾根・谷・その他の特記事項を追記
蛍光ペンで尾根や谷をなぞると、現地でパッと見て分かりやすいです。
また、準備段階で現地の状況を先読みする助けになります。
地図読みの道具を揃える
- 出力した地図を透明のジップ付の袋やクリアファイルに入れる
- プレートコンパス(指にはめるサムコンパスでもOK)
- 気になったことを書き込む筆記用具
首にヒモをかけないようにしましょう。
引っ掛かって危険です。
登山開始
それでは、実際に山で練習開始です。
①GPSアプリを起動
スマホでヤマレコやヤマップなどのGPSアプリを利用している方は多いと思います。
もし利用していないなら、GPSの地図が無料で使えるのでおすすめですよ。
アプリを起動しておき、自分の現在地がマッピングされるようにしてから登山をスタートしましょう。
ちなみに、筆者はヤマレコの他にジオグラフィカも利用しています。
ジオグラフィカはとてもシンプルな表示で見やすいので、実際に山歩きをしている時はこちらを見ることが多いです。
ジオグラフィカについての記事もありますので、よろしかったらこちらもご覧くださいね。
②現在地を予想しながら歩く
地図を見ながら、気になる所ではコンパスで方角を確認しつつ歩きます。
左側が急な谷になっているな
など地図の情報と照らし合わせます。
また、腕時計などで高度が分かるなら、さらに特定がしやすいです。
③チェックポイントに到着したらGPSアプリで答え合わせ
チェックポイントに来たなと思ったら、スマホのGPSアプリで正解かチェック。
ビンゴだとすごく嬉しいです^^
反省点と課題
実際に練習をすることで、「これも準備しておいた方がよい」というものが見えてきました。
初回の答え合わせの精度は甘かった
イイ線はいっていたのですが、まだまだビンゴ!というポイントは少なかったです。
チェックポイントの少し手前のちょっと似た地形を勘違いすることが多々。
もっとたくさん練習が必要です。
高度を把握できるようにするべき
高度に関して地図で先読みをしておらず、何も記入していませんでした。
そのせいで、現地で高度を確認するのに凄く時間がかかり、イライラ。
目安になる高度をマーカーしたり、チェックポイントには高度を書いておくなど、パッと見で分かりやすく追記すべきでした。
距離感をつかめるようになるとベター
地形、人工物の次は、距離感をつかめるようになると、判断の精度が高まります。
距離感と勾配が分かると、どれくらい歩けそうか、休憩が必要そうかなど計画できそうです。
国土地理院の地図の縮尺「2万5千分の1」では、4cmが1km。
ただし、ヤマレコなどで出力すると拡縮により距離のゲージが変わるので要注意です。
練習をしてみて分かったこと
机上では分からなかったことが見えてきました。
思ったより初心者でもできる
机上で知識をどれだけ得ても、正直のところ実際に地図読みができるのか不明でした。
と言うか、全然できないだろうと思ってました。
ところがいざ山でやってみたら、意外と地図と現場の状況を照らし合わせることができたのです。
地図を有効に使いたいなら、準備と予習が不可欠
練習で実感したのは、地図の先読みをしておくことがいかに重要かということです。
予め尾根や谷をマーキングしたり、ルートをなぞってチェックポイントを記入。
それだけで、地図の理解がかなり早くなります。
時間をかけて現地でジロジロ見れば地図を理解できるかもしれませんが、いちいち時間をかけるのは本当に煩わしい。
それに本番ではもっと大変な山を登ることが多いでしょうから、時間もロスしたくありません。
高度が分かる腕時計がある方が良い
万が一本番でスマホにトラブルがあった時を想定し、スマホ以外で高度を知る手段を用意する必要があります。
一番手っ取り早いのは、登山用腕時計をすることですね。
GPS機能が付いていると高価になりますが、GPSが付いていなくても登山用の腕時計なら、高度計が付いていることが多いし割とお値打ちです。
実は練習当日、筆者は登山用の腕時計をしていたのですが、高度計の調整をしてなく数値が狂っていたので利用できず。
ここら辺も本番前に気をつけるポイントです。
練習時、アプリの道外れアラートは便利
筆者の利用しているアプリ「ヤマレコ」には、道迷い防止として便利な機能があります。
それは、「予定ルートを外れると教えてくれる」アラート機能。
外れるとすぐさま「予定ルートから外れています」とアナウンスしてくれます。
これがあると、安心して地図とコンパスで練習できます。
「山座同定」のしくみが分かった
よく山頂で他の登山者から聞こえてくる会話。
あそこに見えているのが御嶽山だよ
など、見えている山を同行者に教えている人っていますよね。
あれって、何で分かるんだろうかといつも疑問に思ってました。
でもコンパスの使い方を覚えて、あぁなるほどなと。
地図とコンパスを使えば、簡単にその方角にある山が分かるということが理解できました。
それを「山座同定」と呼ぶことも筆者は知らなかったので、またひとつ賢くなって嬉しいです。
山のことがより分かるようになった気がして楽しい
山に登る目的は人それぞれだと思います。
筆者の場合は、「体力作り、ダイエット、リフレッシュ、写真や動画撮影」。
登山は「目的達成のための手段」という感覚が強めです。
でも地図を読むようになり、山自体を楽しむということに目を向けることができた気がします。
バイクで例えると...
移動の手段でスクーター乗ってたけど、マニュアルのバイクに乗り換えたら、単車を操ってる感が超楽しい!!
みたいな感じです。伝わるかな?!
まとめ/地図読みは想像以上にとっつきやすいスキルだった
地図読みって難しそうなイメージがあり、独学で習得するにはハードルが高そうだと筆者は思っていました。
でも実際は、地図の磁北線とコンパスの北を合わせることができれば、何とかなるものでしたよ!
地図読みの勉強を始めたいけど躊躇している方は、いざやってみると案ずるより産むがやすしだなと感じられると思います。
特にソロで登山をされている方には必須のスキルだと思うので、これを機に安心安全な登山のために、まずは本を手に取ってみるのはいかがでしょうか。
もし講習会に興味がある方は、筆者が参加した石井スポーツ登山学校の「ナビゲーション講座」についての記事もあります。
講座で教えていただいた内容の備忘録となっているので、よろしかったらご覧くださいね!
それでは、良いリフレッシュを!