初めて富士登山に挑戦する時に不安な要素のひとつ、高山病。
特にツアーに参加する場合、他の人に迷惑がかかるのではないかと心配になる方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、高山病にならないための予防対策を調査しました。
この記事でわかること
- 高山病の基礎知識(原因・発症する高度・症状)
- 高山病予防のために、事前に気をつけること、当日に注意して行うこと
- 筆者の燕岳・八ヶ岳での体験談
筆者の体験もおりまぜ、「事前に気をつけること」と「登山当日に気をつけること」としてまとめたので、富士登山の参考にしてみてください。
筆者も富士登山ツアーに参加したいので、実行しようと思います。
高山病とは
標高の高い場所へ短期間で移動したり、長時間滞在したりすることで体に起こる症状を、高山病といいます。
高山病になる原因
高山病になる主な原因は、高地では酸素濃度が低下するためです。
体内の組織や臓器にしっかり酸素供給が行われないことで、さまざまな体の不調を引き起こします。
高山病を発症する高度
高山病は、登山経験の有無やスキルに関わらず誰でも発症する可能性があります。
体調・年齢・天候などによっても変わりますが、一般的には2,000m以上(高齢者の場合1,500m以上)の高度で症状が現れ始めます。
多くの登山バスツアーの出発地点である5合目は、標高2,400m。
バスを降りた時点で、高山病を引き起こす高度に到達しています。
1日で500m以上高度を上げても高山病になりやすいよ!
高山病の症状
高山病の主な症状は以下の通り。
- 頭痛、めまい
- 倦怠感
- 眠気
- 吐き気
- 食欲不振
重症化すると以下の危険性もあります。
- 錯乱・昏睡
- 脳浮腫・肺水腫など死に至る病気
一度高山病の症状が悪化すると、特効薬などはないため、高度を下げたり下山しなければならなくなります。
高山病にならないための予防策
富士山の最高標高は、3,776 m。
高山病になる確率は、アンケートや統計の結果から、3割とも半分近くとも言われています。
3,500mでは、かなり高い確率で高山病の症状が出はじめるという情報もあるので、念には念を入れて予防策を実践したいですね。
ここからは、「事前に気をつけること」を3項目、「登山当日に気をつけること」を5項目ご紹介します。
事前に気を付ける・準備すること3つ
初めての富士登山で高山病を引き起こさないために、できる限りの準備をしましょう。
1. 寝不足・飲酒をしない
高山病予防策として最もよく言われるのが、体調を整えておくこと。
特に睡眠はたっぷりとり、疲労していない状態で登山に臨みましょう。
また、飲酒も控える方が無難です。
2. 高度のある山を経験してみる
ぶっつけ本番が不安だという方は、事前に高度の高い山を試しに登ってみるのもアリ。
高山病の症状を実際に経験したら、より入念な準備・注意ができるようになりますよね。
体力錬成にもなるし一石二鳥。
木曽駒ケ岳や立山などは、2500m前後の標高まで一気にロープウェイで上れるので、高度の高い登山を試しやすいです。
宿泊施設もあり滞在できるため、手っ取り早く標高の高い山を経験できるでしょう。
3. 酸素ボンベを準備して不安を和らげる
富士登山で一般的に持って行くような小型のスプレー缶では、数分しか持ちません。
そのため、高山病の処置として期待するのは難しいのが現実...。
でも、一時的に気分や息苦しさを解消する助けになるようです。
本当に苦しい時に使用できるお守りとして、持っていくだけで安心できるかもしれませんね。
登山当日に気をつけること5つ
事前準備も大切ですが、当日にも実践したい高山病予防の行動があります。
1. 高度を上げているバス乗車中に眠らない
人気の吉田ルートや富士宮ルートのツアーを利用する場合、登山スタート地点の5合目までバスで一気に高度を上げます。
眠ると呼吸が浅くなるため、高山病になるリスクを高める可能性があります。
2. 5合目で1時間以上滞在して高地順応する
登山口である5号目に到着した時点で、高度は2,300m以上。既に高山病になる可能性の高度まで到達しています。
少しでも体を高地順応させるため、すぐに出発せず1時間以上休憩をして、体を慣らしましょう。
ツアーに参加すると、全員の準備が整うまでに1時間かかると予想。
3. 歩くペースを抑える
はりきってオーバーペースで登ると、高山病になるリスクが高まると言われています。
なるべくゆっくり登り、酸欠になるのを防ぎながら、体を高地順応させましょう。
4. 水分補給をこまめにする
体が水分不足になると血流や代謝が低下し、酸素の巡りも悪くなってしまいます。
こまめに十分な水分補給をしましょう。
登山で必要な水分量
体重+荷重(kg)×行動時間(H)×5(ml)
ザックの中へ水筒をしまうと、登山中に水筒を取り出して飲む行為が億劫になってしまいます。
筆者が試行錯誤して採用した「登山時にドリンクを飲みやすいオススメの方法」は、こちらをチェックしてみてくださいね。
5. 深呼吸を意識する
高山病予防には、効率よく酸素を取り入れることは極めて重要。
行動中は、呼吸が浅くならないように、意識して深く呼吸をしましょう。
口を少しすぼめて息をしっかり吐き出すと、深い呼吸になりやすいです。
高山病を発症した時・しなかった時の体験談
富士山に登ってみたいと思い、高山病について調べている筆者ですが、今までに標高が高めの山に2度登った経験があります。
1度目は高山病はまったくなし。2度目は高山病でかなり酷い目にあいました。
燕岳(高低差1,300m)は大丈夫だった
北アルプスの入門コースと言われる燕岳。標高は2,763mあります。
普段低山しか登ったことがなかった筆者ですが、中房温泉登山口と山頂を日帰りでピストンにチャレンジ。
標準コースタイムは8時間半と、結構ハードです。
前日はホテルに宿泊し、英気を養ってから臨みました。
ワインも美味しくいただきました。
登山初心者の筆者は、高山病のリスクなどまったく考えておらず対策もなし。
体力的には疲れましたが、体調は悪くなりませんでした。
八ヶ岳(高低差400m)はダメだった
白駒池のほとりにある青苔荘でテント泊し、翌朝ニュウと中山へ登った八ヶ岳での登山。
忙しい仕事をギリギリで片付け、初めてのテント泊ということもあり、登山開始時点から疲れていました。
スタート地点は標高2,100mで、最高標高は2,500m。
標準コースタイムは3時間40分なので、楽勝のはずでした...。
しかし途中から体調不良に。今思えば高山病だったと思います。
登山の詳しい内容はこちらの記事にあります。
違いは「体力・疲労・前日の睡眠・年齢」
よりハードで標高も高い燕岳は平気で、楽勝のはずだった八ヶ岳で高山病になったことを踏まえ、理由を考えてみました。
燕 岳 | 八ヶ岳 | |
体力 | フルマラソンやトレランレースに参加していた。 | あまり運動をしていない。 |
登山前の疲労度 | あまり忙しくなく、疲労していない。 | デスクワーク+肉体労働のバイトのWワークで疲労していた。 |
前日の過ごし方 | ホテルに宿泊。 標高500m。 夜は飲酒(ワイン) | 初めてのテント泊。 標高2,100m 夜は飲酒(日本酒) |
年齢 | 39歳 | 46歳 |
年齢はどうしようもないとして、体力・疲労度で大きな差が出たのではないかと感じます。
宿泊についても、八ヶ岳はテント泊のため、しっかり疲れが取れていない自覚がありました。
何カ月も前から体力作りも取り組んだ方が良さそう。
もう1点気になるのは、八ヶ岳の宿泊した場所の標高が高かったこと。それも高山病発症に関連性があるかもしれません。
高山病予防対策をして富士登山ツアーを満喫しよう
団体での登山は、自分のベストなペースを維持するのが難しい場合があります。
そのような状況でも体の負担にならないように、しっかり事前に体力作りをしようと、改めて感じます。
当日は、水分補給・歩行ペース・深呼吸を意識して、富士山登頂を達成し、無事に下山したいですね。
それでは、よいリフレッシュを!
※本記事は、必ずしも高山病を予防できることを保証する内容ではありません。各個人の体力・年齢・体調などにより、高山病を発症する可能性は十分あります。自己責任のうえ登山の判断をしてください。